ブログ

2018.05.26

尿失禁:おしっこが漏れる、尿漏れ

尿失禁は頻尿と同じようにさまざまな原因で起こります。
膀胱炎、過活動膀胱、神経因性膀胱、前立腺肥大症、骨盤内の腫瘍(がん)、多尿(尿量が多いこと)、腹圧性尿失禁等が主な原因です。
頻尿、尿失禁といった同じ症状でも、原因となる病気によって治療方法が異なります。頻尿や尿失禁の治療薬は泌尿器科以外のどこの科でも処方してもらえますが、残念ながら誤った処方薬でかえって病状を悪化させてしまう方がときどき見られます。

なかなか改善しない方は泌尿器科専門医に一度原因をしらべてもらった方がいいと思います。近所に泌尿器科が無く、泌尿器科への通院が困難であれば泌尿器科医から紹介状(診療情報提供書)をかかりつけドクターへ書いてもらうといいでしょう。あなたに一番合ったお薬を選択してもらえます。

2018.05.26

残尿感

残尿感とは、おしっこをした後も、「尿が出きっていない感じ」、「尿が残っている感じ」といった症状の事です。実際に尿が残っていることもありますが、尿が残っていないのに残尿感を感じることもあります。 残尿感はいろいろな原因でおこります。 

男性の場合には前立腺肥大症、前立腺炎、尿道炎、尿道狭窄(にょうどうきょうさく)、神経因性膀胱、尿道結石、膀胱結石、尿管結石、膀胱腫瘍(がん)など、女性では急性膀胱炎、慢性膀胱炎、過活動膀胱、神経因性膀胱、尿路結石、膀胱腫瘍、婦人科疾患(子宮筋腫、子宮がん、子宮内膜症など)がみられる一方、原因が不明なことが多いのも事実です。また、更年期の症状の一つとして頻尿がみられることもあります。

2018.05.26

夜間頻尿

夜間頻尿とは、夜間、排尿のために起きなければならない症状をいいます。夜間頻尿の原因は、①夜間多尿、②膀胱容量の減少、③睡眠障害の3つに大きくに分けられます。

①多尿による夜間頻尿の原因としては、糖尿病、水分の摂り過ぎなどの他、高血圧症、心不全、慢性腎臓病等の腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群などがあります。
②膀胱容量の減少では、膀胱に少量の尿しか貯められなくなるもので、過活動膀胱や前立腺炎、膀胱炎、前立腺肥大症などで起こります。 
①睡眠障害は、眠りが浅くてすぐ目が覚めてしまいトイレに行くものです。 不眠症や睡眠時無呼吸症候群等が原因となります。

夕方以降にコーヒーやお茶、お酒等を摂取していると、カフェインやアルコールによる利尿作用によって夜間頻尿が起こりやすくなります。また、塩分摂取量が多い方は塩分摂取を制限することで夜間頻尿は改善します。就寝3時間前には水分摂取を控えることも有効です。 

夜間頻尿は、本人の生活の質(QOL:quality of life)を落としてしまうのはもちろんのこと、夜中にトイレに行く物音で家族を起こしてしまい迷惑になることもあります。また、高齢者では寝ぼけて転倒し骨折してしまうケースも多いため、転ばぬ先の杖の心がけで気になったら早めに治療を行いましょう。

2018.05.26

排尿困難

排尿困難とは、膀胱から尿を排出するときに問題がありスムーズにおしっこが出ないことを言います。
神経系の異常(神経因性膀胱、過活動膀胱、パーキンソン症候群、脳出血、脳梗塞やせき髄疾患など),尿道の通過障害(前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺がん、尿道狭窄、下部尿路結石、下部尿路がん等)など様々な原因で起こります。 

排尿困難が進行すると尿閉(にょうへい:おしっこが出なくなる事をいいます)となり放置すると腎不全へ移行して生命にかかわる事もあります。
高齢者(特に麻痺のある方や認知症の方)は症状を自覚せず訴えも無いことが多いため注意が必要です。 

排尿困難の原因は上記のように様々な疾患と関係しているため、症状から安易に自己判断をし、薬局や通信販売でおくすりを購入する前にやはり専門医で原因をしっかりと調べてもらうことをお勧めいたします。

2018.05.26

尿線の異常

尿線とはおしっこの際に尿が作る放物線の事です。(健康な方では放物線を描きます)
尿線の異常には以下の3つの現象があります。

①尿線分離;排尿時に尿の線が1本にならずに2本以上に分裂してしまう現象です。庭にホースを使って散水する際に、ホースの先端を指でつぶすと出てくる水は分散しますが、この現象が尿道でおこっているのです。前立腺肥大症、尿道狭窄(にょうどうきょうさく)等膀胱以下の尿路通過障害の際にみられます。

②尿線細小化:尿線が細くなってしまうことをいいます。

③尿線中絶:排尿の途中で尿量が止まることをいいます。膀胱結石や膀胱腫瘍等で起こります。
尿線の異常があれば、膀胱や前立腺、尿道の病気や神経因性膀胱が疑われますので、専門的な検査が可能な泌尿器科専門医で診てもらってください。  

2018.05.26

尿のにごり

最近のトイレはほとんどが洋式になっているため尿や便の状態確認がしづらくなりました。 それでも、「尿の濁り」を気にしてクリニックを受診される方は今も少なくありません。 今回は「尿の濁り」について簡単に説明をさせていただきます。

健康な尿は基本的に透明です。 脱水傾向にある場合は尿の色は濃くなり、水分を取り過ぎた場合には「真水のように無色透明」となります。 では、尿が濁る原因について挙げていきます。

1)尿路感染症
 膀胱炎や腎盂腎炎など、尿路に細菌が侵入すると尿路の細胞に炎症が起こり、白血球や細菌、赤血球や炎症細胞等が混じりあって濁って見える事があります。 男性の場合には前立腺炎でも尿が濁って見える事があります。

2)尿路結石症
 腎臓結石、尿管結石、膀胱結石などの尿路結石の患者さんではしばしば尿の混濁がみられます。 この場合、尿混濁の原因として最も多いのは『尿中の塩類の結晶』です。 塩類とはリン酸やシュウ酸などを基とする成分で、塩類は一般的には水分に溶けているため肉眼では見えませんが、飽和状態を超えた分は結晶化し濁りとしてみえます。
そしてこれらの結晶が集まって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石になります。 
すなわち、尿路結石症の患者さんの尿にはリン酸やシュウ酸の結晶が多く含まれていることが多いため濁って見えるのです。
 
3)性病
 淋菌性尿道炎(淋病)、クラミジア尿道炎などで尿の濁りを訴える場合もあります。

4)乳び尿、乳び血尿
 乳び尿とは、尿の中にリンパ球が混じった状態のことを言います。 尿が牛乳、ないしは米のとぎ汁のように乳白色に濁ります。 出血を伴うと、「イチゴミルク」、あるいは「コーヒー牛乳」のように見えることもあります。 これは腎臓周囲のリンパ管が何らかの原因でうっ滞した結果おこります。 腎臓周囲の外傷や、腫瘍(がん)、フィラリア症という病気などが疑われます。

5)コンタミ(コンタミネーション)
 コンタミ(コンタミネーション)とは医療業界用語で、「意図しない混入・汚濁」といった意味の事です。 女性の場合、採尿した際に「おりものが混入」する事が良くあります。 これを我々はコンタミと呼びます。 おりものがコンタミした尿は混濁してみえます。 私がまだ医師になりたての頃、患者さんが提出した尿に『油と蝋みたいなもの』が浮いておりました。 医学書をあれやこれやと調べるも原因がわからず、悩みましたが結論は『座薬が尿に混入』したものでした。 

きれいな尿は健康のバロメーターです。 尿の濁りが気になったらご相談ください。

2018.05.26

尿が匂う

「尿の臭いの異常」で泌尿器科を受診される方はしばしばいます。そこで尿の臭いについてその原因と病気について簡単に説明いたします。

急性膀胱炎になった場合:膀胱内に侵入した雑菌が尿中の有機物を分解した結果発するにおいで、大便のような臭いがします。頻尿や残尿感、排尿痛の症状が伴えば膀胱炎の確立は高いと考えます。
糖尿病や飢餓状態、腎不全の場合:甘酸っぱい異臭がする事があります。これは尿中にケトン体という物質が排泄されることが原因です。
メープルシロップ尿症やフェニルケトン尿症といった先天性疾患でも尿に異臭を感じるのですが、出生約50万人に1人ほどのまれな疾患であり生後5日前後に行われる「新生児マススクリーニング検査」で見つかるため泌尿器科を受診されることは極めてまれです。
その他にも飲食物、薬、サプリメントなどの影響で尿に異臭を感じることがあります。 

尿のにおいは「体からの大切なサイン」のひとつです。気になった場合にはご相談ください。

2018.05.26

ペニスの異常

ペニス(陰茎)の異常はなかなか他人には相談がしにくいし、解決するまで不安な毎日を過ごさなければなりません。ここでは、泌尿器科外来でよく相談を受ける「ペニスの病気」とその症状や治療について簡単にご紹介していきます。

1)ペニスが痛い
ペニスのどの部位が痛いかによって予想される病気は異なります。 

イ.排尿時に限らず亀頭や陰茎の皮膚が赤くはれピリピリと痛い。
発赤やむくみがある場合には「亀頭包皮炎」が疑われます。亀頭包皮炎とはその名の通り、亀頭や包皮に起こる炎症の事で、ペニスの不衛生により汗や尿、垢等に雑菌が繁殖する事で起きます。特に包茎の方は亀頭と包皮に雑菌が繁殖しやすいため注意が必要です。 

ロ.ヨーグルト状の白いカスが付着している。
白いカスや垢のようなものが付着しているのは、カビの一種であるカンジタの特徴です。カンジダが原因で発症する亀頭包皮炎はやはりペニスの不衛生によっておこりやすく、免疫力の低下した患者さんに多く見られます。

ハ. 水疱ができた
ペニスに水疱ができ、ペニスの痛みが発症した場合には、「性器ヘルペス」が疑われます。そけい部(太ももの付け根部分)のリンパ節が腫れる事もあります。

二. ペニスの包皮を向くと痛い
仮性包茎が疑われます。嵌頓包茎(かんとんほうけい)となった場合には緊急に整復する必要があります。

ホ. ペニスに硬いしこりが触れ、勃起した際に痛みがある
ペロニー病(陰茎硬化症)が疑われます。症状が進むと勃起時に痛みを感じ、ペニスが「く」の字に変形してしまいます。

2)ペニスが痒い
性器のかゆみは、ペニスの不衛生な状態や夏場の湿気による蒸れなどで起こる「亀頭包皮炎」によって起こることが多いのですが、性感染症や真菌症(カンジダ、白癬菌等)、毛ジラミ症の場合もあります。

3)ペニスがただれたり赤くなる
亀頭包皮炎が疑われます。 細菌などによりペニスや包皮に炎症が起こり、赤く腫れてしまいます。包茎の方に起こりやすい。 

4)膿が出る、透明の液体が出る
おしっこの出口(尿道)から「膿が出る」または「透明の液体が出る」場合は性感染症による尿道炎が疑われます。 

5)イボがある
ペニスにイボのようなブツブツができ、次第に大きくなったり、数が増える場合はコンジローマが疑われます。コンジローマの特徴はカリフラワー状、もしくはニワトリのとさかのような形が特徴です。

6)小さな水疱
ペニスに小さな水疱が見られたら、性器ヘルペスが最も疑われます。 性器ヘルペスは、単純ヘルペスの1型あるいは2型の感染によって発症する性病です。水疱形成の他、ピリピリまたはチクチクした痛みを感じる事が多いようです。性器ヘルペスは一度感染してしまうと治療を行ってもウィルスが体内に潜んでいるため、過労や病気などで免疫力が落ちた時に何度でも再発する嫌な疾患です。ヘルペスの症状が出たら積極的に抗ウイルス薬の内服をすることで再発やパートナーへの感染を予防する事が出来ます。

2018.05.26

UUIを御存じですか?

タレントの西村知美さんが、『トイレに間に合わない…その症状はUUI(切迫尿失禁)かもしれません。』とTVのCMで啓発キャンペーンを行っていますね。 このCMが気になっている御婦人は結構いらっしゃるのではないでしょうか。

UUI(切迫尿失禁)とは過活動膀胱の症状の一つで、「突然の強い尿意によりトイレに間に合わず尿が漏れてしまう症状」の事を言い、英語の『Urgency Urinary Incontinence(切迫性尿失禁)の頭文字をとってUUIと最近から呼ばれるようになりました。

一方で過活動膀胱(OAB: Over Active Bladder)とは尿意切迫感(突然に起こる、抑えられないような強い尿意で、がまんすることが難しいもの)を必須症状とした症候群の事をいいます。
なお、過活動膀胱(OAB)の方によく見られる症状は以下の通りです。

・急にトイレに行きたくなり間に合わないかとひやひやする。
・夜間に何度もトイレに起きてよく眠れない
・テレビの観覧中や家事、電話の最中にすぐトイレに来たくなる。
・尿を漏らしてしまう
・長時間の外出を避けるようになる
・トイレが気になり旅行が楽しめない

過活動膀胱(OAB)は40歳以上の女性ではおよそ10人に1人の割合で見られる症状で、過活動膀胱の症状を自覚する女性のうち約3分の2にUUIの症状はみられます。 このようにOABやUUIは誰にでも起こり得る症状ですが、相談をしたくてもなかなか言い出せないため、「加齢や体質のせいだ。」とあきらめて我慢をしている方が多いと思われます。 OABやUUIは、問診や腹部超音波検査、尿検査等の比較的簡単な検査で診断がつき、適切な治療により症状の改善が期待できますので、恥ずかしがらずに医療機関を受診していただきたいと思います。

2018.05.26

前立腺結石、前立腺石灰化について

健診や人間ドックの検査結果で、『前立腺結石』あるいは『前立腺石灰化』を指摘される方は多いと思います。そこで今回のコラムのテーマとして取り上げたいと思います。

前立腺結石とは
前立腺結石とは、前立腺のなかに石や石灰化を生じた状態です。

原因は
前立腺結石は、前立腺肥大症や尿道狭窄等が原因で前立腺液(精液の一部)の流れが悪くなり、前立腺の炎症を起こした結果生じると考えられています。

症状
前立腺結石はほとんどの人が無症状です。ただし、前立腺炎を合併すれば発熱や、痛み、尿の濁り(膿尿や血尿)を来すことがあります。

治療
前立腺結石自体では自覚症状を伴う事は無く、通常は治療の必要はありません。排尿障害や痛み、陰部や下腹部、会陰部の不快感を伴う場合には前立腺炎の治療を行います。

予防
前立腺結石の予防方法はありません。前立腺結石は健康な男性でも加齢と共に増加し50歳以上の約80%に見られます。

最後に
前立腺結石自体はあまり問題となる事はありません。ところが前立腺結石が好発する年齢の方は、前立腺肥大症や前立腺がん、前立腺炎等の病気が潜在している可能性もありドック等では泌尿器科での二次検査を勧められることが多いでしょう。

1 2 3 4
なしろハルンクリニック 紹介なしろハルンクリニック 紹介 なしろハルンクリニック BLOGなしろハルンクリニック BLOG 男性の泌尿器相談室