(おしらせ)県医師会県民公開講座(眼の構造と目の病気)
平成30年7月7日(土曜日)
場所 パシフィックホテル沖縄(万座の間)
講演
「眼の構造と目の病気」 琉球大学医学部
眼科 准教授 酒井 寛 先生
「糖尿病の眼合併症」 琉球大学医学部
眼科 助教 山内 遵秀 先生
「沖縄の緑内障」 琉球大学医学部
眼科 准教授 酒井 寛 先生
沖縄県での麻疹(はしか)終息宣言について
沖縄県では平成30年3月麻疹患者発生の報告以降99人までの感染拡大がありましたが、5月11日以降新たな患者発生は見られず6月11日に麻疹(はしか)流行は終息したと沖縄県保健医療部より宣言されました。
第125回沖縄県医師会医学会総会
平成30年6月10日(日)開催の沖縄県医学会総会で<腎・泌尿器科Ⅱ>のセッションの座長を勤めさせていただきました。会場では活発な討論が行われ、有意義な学会でした。 演者の先生には貴重な症例を提示いただき誠にありがとうございました。
頻尿
尿の回数が多い、あるいは尿が近い症状を『頻尿(頻尿)』といいます。
一般的に、起床から就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。ただし、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる、あるいは日常生活に支障がある場合には頻尿といえます。
頻尿は様々な原因でおこります。膀胱炎、過活動膀胱、神経因性膀胱、前立腺肥大症、骨盤内の腫瘍(がん)、多尿(尿量が多いこと)、心因性頻尿等が疑われます。
尿失禁:おしっこが漏れる、尿漏れ
尿失禁は頻尿と同じようにさまざまな原因で起こります。
膀胱炎、過活動膀胱、神経因性膀胱、前立腺肥大症、骨盤内の腫瘍(がん)、多尿(尿量が多いこと)、腹圧性尿失禁等が主な原因です。
頻尿、尿失禁といった同じ症状でも、原因となる病気によって治療方法が異なります。頻尿や尿失禁の治療薬は泌尿器科以外のどこの科でも処方してもらえますが、残念ながら誤った処方薬でかえって病状を悪化させてしまう方がときどき見られます。
なかなか改善しない方は泌尿器科専門医に一度原因をしらべてもらった方がいいと思います。近所に泌尿器科が無く、泌尿器科への通院が困難であれば泌尿器科医から紹介状(診療情報提供書)をかかりつけドクターへ書いてもらうといいでしょう。あなたに一番合ったお薬を選択してもらえます。
残尿感
残尿感とは、おしっこをした後も、「尿が出きっていない感じ」、「尿が残っている感じ」といった症状の事です。実際に尿が残っていることもありますが、尿が残っていないのに残尿感を感じることもあります。 残尿感はいろいろな原因でおこります。
男性の場合には前立腺肥大症、前立腺炎、尿道炎、尿道狭窄(にょうどうきょうさく)、神経因性膀胱、尿道結石、膀胱結石、尿管結石、膀胱腫瘍(がん)など、女性では急性膀胱炎、慢性膀胱炎、過活動膀胱、神経因性膀胱、尿路結石、膀胱腫瘍、婦人科疾患(子宮筋腫、子宮がん、子宮内膜症など)がみられる一方、原因が不明なことが多いのも事実です。また、更年期の症状の一つとして頻尿がみられることもあります。
夜間頻尿
夜間頻尿とは、夜間、排尿のために起きなければならない症状をいいます。夜間頻尿の原因は、①夜間多尿、②膀胱容量の減少、③睡眠障害の3つに大きくに分けられます。
①多尿による夜間頻尿の原因としては、糖尿病、水分の摂り過ぎなどの他、高血圧症、心不全、慢性腎臓病等の腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群などがあります。
②膀胱容量の減少では、膀胱に少量の尿しか貯められなくなるもので、過活動膀胱や前立腺炎、膀胱炎、前立腺肥大症などで起こります。
①睡眠障害は、眠りが浅くてすぐ目が覚めてしまいトイレに行くものです。 不眠症や睡眠時無呼吸症候群等が原因となります。
夕方以降にコーヒーやお茶、お酒等を摂取していると、カフェインやアルコールによる利尿作用によって夜間頻尿が起こりやすくなります。また、塩分摂取量が多い方は塩分摂取を制限することで夜間頻尿は改善します。就寝3時間前には水分摂取を控えることも有効です。
夜間頻尿は、本人の生活の質(QOL:quality of life)を落としてしまうのはもちろんのこと、夜中にトイレに行く物音で家族を起こしてしまい迷惑になることもあります。また、高齢者では寝ぼけて転倒し骨折してしまうケースも多いため、転ばぬ先の杖の心がけで気になったら早めに治療を行いましょう。
排尿困難
排尿困難とは、膀胱から尿を排出するときに問題がありスムーズにおしっこが出ないことを言います。
神経系の異常(神経因性膀胱、過活動膀胱、パーキンソン症候群、脳出血、脳梗塞やせき髄疾患など),尿道の通過障害(前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺がん、尿道狭窄、下部尿路結石、下部尿路がん等)など様々な原因で起こります。
排尿困難が進行すると尿閉(にょうへい:おしっこが出なくなる事をいいます)となり放置すると腎不全へ移行して生命にかかわる事もあります。
高齢者(特に麻痺のある方や認知症の方)は症状を自覚せず訴えも無いことが多いため注意が必要です。
排尿困難の原因は上記のように様々な疾患と関係しているため、症状から安易に自己判断をし、薬局や通信販売でおくすりを購入する前にやはり専門医で原因をしっかりと調べてもらうことをお勧めいたします。
尿線の異常
尿線とはおしっこの際に尿が作る放物線の事です。(健康な方では放物線を描きます)
尿線の異常には以下の3つの現象があります。
①尿線分離;排尿時に尿の線が1本にならずに2本以上に分裂してしまう現象です。庭にホースを使って散水する際に、ホースの先端を指でつぶすと出てくる水は分散しますが、この現象が尿道でおこっているのです。前立腺肥大症、尿道狭窄(にょうどうきょうさく)等膀胱以下の尿路通過障害の際にみられます。
②尿線細小化:尿線が細くなってしまうことをいいます。
③尿線中絶:排尿の途中で尿量が止まることをいいます。膀胱結石や膀胱腫瘍等で起こります。
尿線の異常があれば、膀胱や前立腺、尿道の病気や神経因性膀胱が疑われますので、専門的な検査が可能な泌尿器科専門医で診てもらってください。